鈴木貞美「日本の文化ナショナリズム」を読んで

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感想

中世欧州は名誉革命フランス革命等により、絶対王政による国家から国民国家へと変わりました。国民国家という概念を持つには、同じ民族であるという認識が必要になります。同じ民族は言語・宗教・文化等が共通します。共通点を持つ集団が国民国家を形成し、対外的な戦争を行なう過程でアイデンティティが自然と強化されました。

欧州諸国を手本に近代国家を目指す明治政府は、日本人に共通する文化を強調することにより、国民国家を形成しようとします。

本書では、国民国家を形成する過程での、伝統の「創造」として「武士道」「国技の相撲」「初詣」等の紹介が、印象的でした。



本書からの引用

 

 ナショナリズムの定義

ある民族や複数の民族が、その生活・生存の安全を守り、民族や民族間に共通する伝統・歴史・文化・言語・宗教などを保ち、発展させるために国民国家を形成し、国内にはその統一性を、外国に対してはその独立性を維持・強化することを目指す思想原理や政策、あるいは運動の総称。 

 

 国民国家とともに成長したナショナリズム

はっきり言えることは、近代になって国民国家が形作られていく過程で、近代的なナショナリズムが誕生したということだ。それは本質的に「国民国家主義」なのである。

 

 伝統の創造

スコットランド北部、民族衣装として知られるキルト、男性が着用するタータンチェックの膝丈の巻きスカートは、実は19世紀にロンドンの仕立て屋によって創作されたものだった。 

日本でも、神道の様式で行われる結婚式や、初詣などの習慣が、明治時代に新しく作られた。