宮下志朗「モンテーニュ 人生を旅するための7章」を読んで

感想

今まで読んだ本の中に、モンテーニュの言葉が散見されたため彼の著書である「エセ―」を読もうと思いましたが、あまりにも重たいため解説書である本書を選びました。最初にモンテーニュの生涯や16世紀のフランスの状況が説明されており、どういう背景で本書がかかれたのかが、理解できます。

モンテーニュは出世や勝利に価値を見出すのではなく、平穏で安らかな暮らしに価値を見出す人柄のようでした。ですから、魔女裁判ユグノーへの扱い、新大陸の人々への非道な扱い等をモンテーニュが見聞するごとに、彼の胸が締め付けられたと思います。

そのような中で、「人間とは揺れ動く不安定な存在である」ことや、矛盾や変化があっても「人間としての存在を完全な形で備えている」との言葉は、当時の人はもとより、現在でも通用する考えだと思います。



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本書からの引用

 

 人間とは揺れ動くもの

人間とは、首尾一貫した存在ではなく、揺れ動く、不安定な存在であって、それはそれで構わないではないかと覚悟を決めること 。

 

 揺れ動いても人間は完全なもの

モンテーニュの場合は、矛盾し、変化してしまう自分を例に挙げて、それでも「人間としての存在を完全な形を備えている」と保証してくれるから、読み手も大変に救われる。 

 

 書物の知識だけに頼らない

とはいえ、繰り返すようだが、彼は書物による知識を絶対視してなどいない。「もっぱら書物に頼った知識力とは、なんと情けない知識力であることか!」という有名な表現を思い起こそう。

 

 ソクラテスに徳の輝きを見る 

善人と言うか、先ほどの「怒り」に関してならば、温厚な人は、確かに立派な存在だ。でも、生まれつき穏やかな人間は、困難も葛藤も抱えていないのであって、むしろ、そうした困難や葛藤を乗り越えたところにこそ、徳が立ち現れるというのが、モンテーニュの基本的な価値観なのだろう。 

 

 ソクラテスの死

ソクラテスは、彼にとって死は自然で、どうでもいい出来事と思われるから、それをまっすぐに見つめて、よそ見をすることなく、死ぬ覚悟を決めるのである。