宇野重規「民主主義とは何か」を読んで

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民主主義が戦争と密接な関係があることは、意外でした。

古代ギリシアでは都市市民が戦士として戦争に参加することによる政治的発言権の増大、国民国家による軍隊がナポレオン戦争で勝利し王政国家が倒れたこと、米国黒人が参加したベトナム戦争後の黒人の地位向上等、身近に例があります。

一方、民主主義が進むと個人は皆平等となりますから、宗教的権威や伝統的権威から解放されることにより、人と人の結びつきは弱まり孤独に陥りがちになります。現代の個人主義の背景です。

また、感染症パンデミックでは、独裁国家が迅速な対応をし、封じ込めたようです。これを見ると独裁によるコントロールが優れているように見えますが、長い目で見ると多様な意見、実験、仮説を議論し、その結果を自分の意志でそれぞれが行動する社会が、困難に対応できると思います。

そういう意味では、今の日本を力強く感じます。

この本は、民主主義の歴史を通して、誕生、承継、結合、実現に分けて書かれています。この本を読むと、現在の日本が選挙制度、議会制度、議院内閣制、立憲君主制象徴天皇制)を採用していることが理解できます。

自分の意見を率直に述べること。その意見を採用した理由を述べること。そして自分の考えよりも現状を良くする他者の意見があれば、それを認めること。そうした議論が、感情を交えずに行うことが、民主主義の前提としてあります。

そうした議論の積み重ねを通して、選挙での投票を行えば、前述の政治制度がより国民のために機能するでしょう。

独裁国家が経済政策や新型コロナ感染症対策で効果をあげているようですが、そういう現在だからこそ、読んでもらいたい一冊です。